エールフランスKLM、借入8100億円　政府保証利用で

【パリ=白石透冴】仏蘭エールフランスKLMは24日、新型コロナウイルスによる資金難に対応するため、仏政府の保証などを利用し70億ユーロ（約8110億円）を借り入れると発表した。運航数が激減しており、7月にも資金が枯渇する恐れがあった。世界の航空需要回復は見通せず、各社が相次いで政府支援を要請している。

内訳は仏政府が9割を保証する銀行からの借り入れが40億ユーロ、仏政府からの借り入れが30億ユーロとなっている。ルメール仏経済・財務相は同日、仏テレビの取材に「同社が競争力を取り戻すことが支援の条件だ」などと語った。

ロイター通信によると、オランダ政府も近く、KLMが資金20～40億ユーロを借り入れるのを支援する考えだ。

エールフランスKLMは9日、今後数カ月は運航数が19年比で9割以上減った状態が続くとの見通しを発表した。仏紙フィガロによると、固定費など1日2500万ユーロが流出しており、資金繰りが懸念されていた。

ベン・スミス最高経営責任者（CEO）は22日、仏上院の公聴会で「運航が19年の水準に戻るのは22年かもしれない」と語っており、苦境が長引くおそれがある。

トランプ米政権は航空会社支援として500億ドル（約5兆4千億円）を確保した。一方、オーストラリア政府は国内2位のヴァージン・オーストラリアの経営再建が難しいと判断して見限り、同社は21日に経営破綻した。